2021/04/12

反田恭平 卒業レポート

2021/04/12

反田恭平

反田 恭平 Kyohei Sorita

ピアニスト等の表舞台に立つ側の顔や, 企画制作をする裏方の気持ちも分かるのが私の最大の武器だと思っています。「アーティストが思う、思いありのあるマネジメント会社」でもありますし、クラシックコンサートへの新しいアプローチの…

第46回生として御支援して頂き、その後個人助成事業対象者としても活動をサポートして頂けた事は大変光栄で、長きに亘りありがとうございました。日頃から奨学生を陰で応援して下さったスタッフの皆様にも、とてもお世話になりました。本当にありがとうございました。

 最初の2年間での主な使い道としては、「留学生活面」にて支えて頂きました。高校卒業後は、家族から自立して生きなければいけない事情もあり、そしてそれは自分の意思でもあったため、ヨーロッパと日本の行き来をどうしてもしなければならない時期が必要でした。”帰国した翌日にコンサート“ なんて日常茶飯事でしたので、腕の浮腫みや体調のことを考え、フライトの席を一つ上げてみたりなんて事も奨学金があったからこそ出来たことでもありました。その結果、不自由なく留学生活を送ることができ、1度目の研究科を修了致しました(現在は2期4年目)。

 個人助成での2年間は、コンサートの興行や、近い将来に作ってみたいアプリケーションのベースとなる物に開発研究費として活用させて頂きました。

 コンサートの興行では大成功を収め、新たに集まった資金で次のプロモーションやマーケティングを広げる事に繋げる事にも成功しました。
それによる例の1つとして、全国各地を巡るソロ・リサイタルツアーなどとなります。
アプリケーションに関しては、現在も試行錯誤をして少しずつではありますが、一歩一歩タスクをこなしている段階です。昨年4月に行いました、クラシック業界初となる課金制のオンデマンド・コンサートもその1部です。当初は風当たりも大変厳しく、”無理無理”なんて言葉が飛び交っていたり未来性と現実的ではないと散々言われましたが、今ではもう配信コンサートというのは当たり前になりました。また、動き始めた当初から思っていたことが現実になってしまったことがあります、それは様々な母体が増えすぎて定めが決まらない現象が始まった事…でした。次に我々が進まなければならない事は「沢山の要素の力の底上げ」という事であり、聴覚に優れた、或いは視覚に特化した配信なのか…と。

 個人的には、あくまでこの配信ツールはいずれ作ってみたいアプリケーションのコンテンツ柱の1つに過ぎず、更にその先の事を組んで行かなければならないと強く思っています。「クラシックコンサートに足を運ぶ人数が相対的に増えていけば」という目標があります。先ずはオンラインサロンからはじめ、最終的にアプリ化へ移動と段階を踏むことに致しました。

 ポーランドでの生活や、海外公演などの経験値は何にも代えられない格別な時間でした。逆に専門分野ではない「経営」という一度も習った事もなく、やり方も知らない素人からの始まりは、自身の音楽性にも影響はありました。所属アーティストのコンサートの会場入り口に立ち、どんなお客さんが聴きに来ているのか。更に遡ると、ホールの貸し出しからまで戻り、コンサートの作成裏側を知ってみたりすると、より「感謝」と「責任感の重さ」を感じました。そこから溢れ出る感情も、やはり自分が弾く音楽へと繋がっていったのでした。特にコロナ禍ではより人間の本性が現れやすくなっていて、見定めがとても身についたと思っています。

 私が大きな声で後輩たちへアドバイス・メッセージを言える立場ではないですが…
これからはきっと様々な形でクラシック音楽界が進むと思われます。人の目が気になるのは十分わかりますが、人生は1度きりなので、是非突っ走って下さい。