小泉 維吹 スポーツ部門 43回生
●出場種目
7月27日〜8月2日│セーリング競技49er級
【インタビュアー:学術部門49回生 田久保 勇志】
ジョージア工科大学3年(専攻:航空宇宙工学/副専攻:国際関係論)。専門: 宇宙ミッション設計。趣味: ダイビング、NBA観戦、読書。最近の出来事: 数日前に終電から始発まで山手線沿線を徒歩で半周しました。
ーー人生のどのタイミングで、競技者としてやっていけるという自信を持ち始めましたか?
小泉 :セーリングを始めたのは7歳でしたが、小学生当時はサッカーの方が楽しかったですね。中学1、2年生あたりで日本代表になれるくらいの力がついて、本当に世界で戦えると思い始めたのは高校生の頃です。ただ当時はユース(15-18歳)のカテゴリーで大人の力を知らなくて、高校3年生で出た大人の大会では20番くらいでした。本当に競っていけるかは分からなかったんですけどね(笑)。大人のカテゴリーに変わるときに、日本では競技人口が少ない49er(フォーティナイナー)級という種目に変えました。もともと速い船が好きで、当時オリンピック種目の中で49er級が最も速い種目だったこともありますが、ちょうどペアとなる高橋レオ選手と出会うこともできて本格的に練習を始めました。
ーー49er級は二人乗りの種目になりますが、個人競技と比べて違いなどはありますか?
小泉 : 個人/ペアの良いところ・悪いところはそれぞれありますが、人によって捉え方が違うと思うんです。例えば個人競技だと上手くいかなかったところは全部自分のせいになりますが、ペアでやっていると、片方が海に落ちたとしてもそれは片方の責任だけにはならないんですよね。二人でやっている以上、二人で上手くいく方法を考えるというのはペアならではの醍醐味だと思います。
なので、パートナーと仲良くなりすぎないというか、勿論仲は良いんですけど、距離感はとても大事だと思いますね。言わなきゃいけないことは言わなきゃいけないし、勝つために何が必要かをまず念頭に置いてやっていくのが、ペアをやる意味かなと思います。一時期はニュージーランドのパートナーの実家に住まわせてもらったり、大会中などは一緒に行動したりしていますが、基本的に今は練習でのみパートナーと顔を合わせる形になりますね。
ーー選手生活を長く続けていくうえで、考えていることはありますか?
小泉 : セーリング競技は特に、年齢による衰えが順位に影響しにくいスポーツなんですよね。道具を使いこなすテクニックに加えて、風と波を読む経験が必要なので、20代前半から活躍する選手は少ないんです。40〜50代でもオリンピックに出る凄い方もいて、年齢層は広いと思います。まだまだ自分は修行中の身ですね(笑)。ただ、49er種目はスピードが出る分、セーリングの中でもフィジカルもキツめの種目です。
ーーセーリング競技自体がまだ日本では知名度があまり高くない種目だと思いますが、オリンピックではどのようなところを見て欲しいですか?
小泉 : セーリング競技は、やっている身からしてもルールが難しいと思うので、海の上を走っているスピード感であったり、選手たちが船の上をダイナミックに動く様子を見て、カッコイイなぁと思ってもらえたら嬉しいです。
ーー最後に、東京オリンピックでの目標を教えてください!
小泉 : 予選レースを通過したトップ10のメダルレースに残って、メダルを狙いたいと思います。最後のメダルレースは得点が2倍になるので予選の得点と合計しての大逆転も起こりえるようになっています。予選でチャンス掴み、メダルを勝ち取りたいと思っています。
(当然のことながら)オリンピック選手とお話しする機会は初めてのことで、何か特別なことを伺わないとと直前まで悶々としていたのですが、(記事には書ききれませんでしたが)競技のパートナーとの出会いから東京オリンピック開催を知ってニュージーランド生活を始めたこと、更には身体がヨットから吹き飛ばされて海面や船体にぶつかる話(!!)まで、終えてみればあっという間のインタビューでした。世界と日々闘っていることを感じさせない穏やかな方で、オリンピックに向けて虎視眈々と準備を進める様子が伺えました。
また、水しぶきを上げながら疾走するヨットの躍動感や、ヨットと飛行機翼の飛行原理の共通点など、今までまったく知らなかったセーリング競技の面白味を知る素晴らしい機会となりました。オリンピックで注目する競技が一種目増えたことを非常に嬉しく思います。
最後になりますが、インタビューを快諾してくださった小泉さん、本当にありがとうございました。東京での晴れ姿、応援しています。
(取材日:2021年7月1日 文:学術部門 田久保 勇志)
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