この日、外村さんが演奏するチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴きながら、身体に沁み込んだような、外村さんを体現しているような演奏だなと感じていました。何故だろうと伺ってみると、なるほどと思わせる回答が返ってきました。
また、コロナ禍にありながらも、可能な限り外の世界から様々なことを吸収しようと動いている、エネルギッシュな外村さんの姿が目に浮かぶような回答をいただきました。是非、ご一読を!
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Q1. この日弾かれたチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調 op.35は外村さんのイメージに重なる特別な曲にように思えましたが、外村さんにとってどんな曲でしょうか。
記憶にあるうちに初めて聴いたCDがダヴィッド・オイストラフが演奏しているチャイコフスキーのヴァイオリンコンチェルトで、幼いながらに壮大さとメロディーの美しさに鳥肌がたった記憶があります。
そこからはこの曲がいつか一番弾いてみたい曲になり、中学三年生の時に初めてコンクールの為に準備をしてからはここぞという時にこの曲を弾いてきました。壮大で幸せいっぱいなメロディーから滲み出る寂しさや孤独さを感じ、そこが堪らなく好きです。今までで一番弾いてきた曲だからということもあるかもしれませんが、今の私にとっては一番ありのままの感情で弾ける曲だと感じます。
Q2. 演奏前、どんなことを考えながら舞台に上がられましたか。
本当に緊張していましたが、お越し下さった皆様に一人でも多く喜んでもらうために自分も全力で楽しもうという気持ちで舞台に上がりました。
Q3. 演奏直後の満足そうな、自信に満ちた笑顔がとても印象的でしたが、演奏直後はどんな気持ちでしたか。
毎回どの演奏会でもそうなのですが、やはり全力を出し切った後に拍手を頂いたりお客さまが笑顔になってくださっているのを見ると本当に嬉しくなります。無事終えることができた達成感と、素敵なホールで素敵な方々と一緒に音楽を作り、それをお客さまに聴いていただくことができた幸せを噛み締めていました。
Q4. 今、具体的にどんな事を目標に、日々研鑽を積まれていますか。
頂いた演奏会一つ一つで少しでも納得のいく演奏ができるように準備をしています。また技術の向上のためパガニーニやコンチェルトのレパートリーを増やしたり、色々な音楽を聴いたり演奏会に行ったりして自分の演奏に取り入れて、自分だからこそできる表現の仕方を見つけられるよう日々研鑽を積んでいます。
Q5. ヴァイオリンを弾く上で、何を一番大事にしたいと思っていますか。
演奏する上で技術やその作曲家の意図を忠実に表現する事もとても大事ですが、自分の感情や考え方を大事にして演奏できたらいいなと思っています。例えば物語や風景を表している作品であってもそれはその作曲家の感情というフィルターを通して作られた曲であり、それを表現するために更に奏者の感情というフィルターを通して誰かに届けるのが「演奏する」という事なのではないかと最近考えるようになりました。
また色々勉強して経験を積んでいくうちに考え方が変わってくるかも知れませんが、今は感情や考え方を磨いていくために日常の経験やヴァイオリン以外の経験も大事にしたいと考えています。
Q6. 今、子供さんにヴァイオリンを教えているそうですが、教わる側から教える側になって、いろいろな発見や、逆に学ぶところがあったと思います。いかがでしょうか。
一人だけ母のサポートで教えさせてもらっているのですが、毎回のレッスンが本当に勉強になっています。今まで小さい頃に教えてもらって無意識にやっていた事をいざ言語化して小さい子に伝えるとなると難しいですし、言語化できた後に自分でやって見ると弾きやすくなっている事が多いです。今までいかに無意識でなんとなく弾いている事が多かったか痛感しています。
また「ここはこういう練習法を教えてもらったな」とか「こういう風におっしゃっていたな」と思い出して教える事がたくさんあり、先生方と小さい頃につきっきりで見てくれていた母の凄さを改めて実感しています。
Q7. 今、ヴァイオリン以外でどんなことに興味をお持ちですか。ヴァイオリン以外でどんなことに時間を使っていますか。
疑問に思った事や知りたい分野の本を読んだり、コロナをきっかけに昔やっていたダンスを再開したり、洋楽ポップスやHiphopやR&Bが大好きでたくさん聴くので最近はそれらの作曲法にも興味を持っています。
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ダンスを踊り、洋楽ポップスやR&Bをたくさん聴く外村さん。また、小さいお子さんにヴァイオリンを教えることが本当に自分の勉強になっているとのこと。いろいろな経験が間違いなく外村さんの演奏に大きな影響を与えていると思われます。この先、外村さんの演奏がどんなふうに変わっていくのか、追いかけるのが楽しみです🎻
東京交響楽団東京オペラシティシリーズ 第122回
日時:2021年07月10日
14:00
会場:東京オペラシティ
◆プログラム
ムソルグスキー:歌劇『ホヴァンシチナ』
前奏曲「モスクワ河の夜明け」
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
ソリスト:外村理紗
ムソルグスキー(ラヴェル編):展覧会の絵