2022/04/14

第51回財団総会 理事長挨拶
峰岸 真澄

2022/04/14

皆さん、本日はご参加いただきありがとうございました。今年でリクルートスカラシップ制度設立51年目を迎えました。2022年度からは新たに19名の奨学生を迎えます。本当におめでとうございます。そして財団を卒業される皆さんも素晴らしい成果を残されて卒業されます。改めましてご卒業おめでとうございます。

 51年間で704名もの奨学生をお迎えして世界のずば抜けた活躍を目指す学生の皆さんを応援してきました。ここ数年先行きがとても不透明の中、来季に向けてもリクルートホールディングス社をはじめとする当財団への寄付により、皆さんへの応援体制と運営体制の強化をすることができています。是非これから同じ分野で、そして先ほど理事の村井さんからもお話がありましたが、分野を超えて皆さん同士で切磋琢磨していただき、世界で活躍していっていただければなと思います。

今回でこの総会も3年連続オンライン開催となりました。実はコロナ前までは日本のある会場に一同集まって食事をしながら懇親会も含めて開催していたのですが、もはや遥か昔のことのように思えています。オンライン総会の形式も慣れてきた中で今回この日本時間、午後の部でも多くの方から発表いただきました。

卒業報告としてはスポーツのバトミントンの43回生 山口 茜さん。山口さんは東京2020オリンピックで5位。そして世界選手権女子シングルスで優勝という素晴らしい成績を残して卒業されます。ご卒業おめでとうございましす。そしてパネルディスカッションでは大変興味深いテーマで議論していただきました。45回生 川北 源二さん・47回生 石田 秀さん・50回生 中村 勇人さんありがとうございました。是非また続きをどこかの場でお願いしたいなと思っております。また、成果報告という形では器楽の44回生 桑原 志織さん。初の試みで映像で登場いただきました。素晴らしくかっこいい映像を拝見できて良かったです。ありがとうございました。そして同じく器楽の45・48回生 小林 海都さんはインタビュー形式でお答えいただきましてありがとうございました。アートの49回生 小林 颯さんからも映像で発表頂きました。本当にそれぞれ印象に残る発表を頂きありがとうございました。

 今回こそオンラインのみの総会は最後になるような気がしているのですが、何れにしましても日本時間午前・午後含めまして、一日を通じてとても記憶に残るオンライン総会だったと思っています。

 昨年後半以降、欧米諸国ではwithコロナに向けての社会活動が本格的にスタートされて、マスクもほとんど着用していない国も多いと思いますが、今年からはニューノーマルに向けて兆しが見えてくるはずでした。ですが残念ながらロシアのウクライナ侵攻によって世界がまた大きな影響を受けております。特に欧州にいらっしゃる皆さんは、戦争そのものや難民が入国してくる状況を間近で感じていらっしゃる方もいると思います。友人が戦火に巻き込まれて心を痛めてらっしゃる方もいるかもしれません。 欧州と陸続きではないアジアの極東に位置している日本人の感覚とは異なる感性でとらえている方もいらっしゃるのではないかと思います。

この場で言うのは相応しくないかもしれませんが、私自身としてはシンプルに日本国家の立場で言えば、これまで第二次大戦以降普遍的価値である自由と民主主義という国際秩序を絶対的に、絶対に絶対に壊してはいけないと思います。この戦争を止めるために直接武力以外の様々な手段を全て発動すべきだと思っています。

 企業としても何ができるのかを考え続けておりまして、私が今会長をやっておりますリクルートホールディングスでは、残念ながらロシアにおける求人サイトのビジネス活動を停止にしました。一方では難民支援のためのアンカーや、いくつかの組織にすぐさま100万ドルの寄付をいたしました。あるいはビジネスを通じての貢献もスタートしています。欧州における難民支援センターのオペレーションや語学研修の人材派遣でのお手伝いも開始しています。こういった企業としても経済制裁という負の側面だけでなく難民支援を通じて周辺国への支援に力を注いで実際に行動していきたいと思っています。

 なんといっても心が痛むのは戦争を起こした国家の影響によりその国のスポーツやアート、学術、器楽の分野で活躍される方の活動が制約されてしまうということです。長期化する可能性は高いと思いますが、一刻も早くあらゆるオプションを検討し両国で妥結点を見つけ出しこの戦争を終結してほしいなと思っています。

 奨学生、卒業される皆様含めまして実際海外に住んでいらっしゃる方、どこの国の方も影響を受けると思います。生活面では物価上昇や交通手段の制限といった影響が出てくると思います。その意味でも大変心配はしているのですが、そんな中でも皆さんが今すべきことに集中して頂きたいと、財団は改めて思っています。今後もそこを集中的にサポートを続けていきたいなと思っています。

辛い時にいつでも帰ってくることができる心の支えになれればと、そう思っています。なんでも財団のスタッフに相談してください。毎月のレポートも少々面倒かもしれませんが是非続けてくださいね。書くことで冷静に自分を見直すことが出来ますし、レポートを読んでお互いに励まされる部分も多いのではないかと思います。これからのご活躍をずっと祈念していますので頑張ってください。

 最後になりますが、選考委員はじめ財団関係者の皆様、本日はご参加ありがとうございました。引き続きご支援のほど何卒よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

2022年3月27日
公益財団法人江副記念リクルート財団 
理事長 峰岸 真澄