2024/07/31

2024/07/31

垣田真穂

垣田 真穂 kakita maho

自転車競技は主に5つの種目があり、私はトラックとロードを専門にしています。2024パリオリンピックはトラック競技で出場することを目標に日々トレーニングに励んでいます。この一年の世界転戦でレース経験を積み、自己成長しオリン…

世界での活躍を目指し、ハードなトレーニングを積み重ねてきたスポーツ部門奨学生がパリ2024オリンピック日本代表選手に選出されました。競技やオリンピックにかける想いについて、奨学生がインタビューを実施しました。
 

垣田真穂
第52回生 スポーツ部門奨学生
早稲田大学

●出場種目
8月7日  │女子団体パシュート 
8月10日│女子マディソン 

自転車競技のチームパシュートとマディソンでパリオリンピック出場を決めた垣田真穂選手。トラック競技の世界で頭角を現す垣田選手に、競技との出会いから日々の練習、そしてパリオリンピックへの熱い思いまで、自転車競技の魅力とともに語っていただきました。


【インタビュアー:学術部門45回生  川北源二
英国インペリアルカレッジロンドンの博士課程で脳が身体を動かす仕組みについて研究。
オリンピックに出場されるトップアスリートの方にお話を伺える貴重な機会に胸を躍らせています。

ーー元々サッカーもやられていたそうですが、どのような経緯で自転車競技を始めたのですか?

垣田:元々は福岡で「スポーツタレント発掘事業」というプログラムに参加していました。そこから「ジャパンライジングスタープロジェクト」に応募したところ、たまたま自転車競技に選抜されたんです。最初の1年間は、3ヶ月に1回くらいのペースで滋賀県に行って自転車競技を経験する機会をもらいました。そこから少しずつ始めて、中学3年生の時に全日本選手権のロードレースで優勝したんです。高校でどの競技を続けるか決める時期になって、自転車競技を選びました。元々小さい頃からオリンピックが夢だったので、自転車競技の方が結果を出せていたし、夢に近づけるかなと思ったんです。それ以来、ずっと自転車競技に打ち込んでいます。実は、最初は自転車競技をするとは思っていなかったんです。合宿の最後にジュニアの強化指定選手に選ばれて、そこで「これから自転車競技をするんだ」と実感しました。夏休みに高価な自転車を買ってもらった時は、もう後には引けないなと思いましたね(笑)。サッカーと比べると自転車競技は本当にきつくて、最初は怖さもありました。でも、結果が出せたことで自信がついて、今では楽しんで競技に取り組んでいます。

左/垣田真穂 右/川北源二

ーー自転車競技を始めてから5年でパリオリンピック出場ということですが、これまでの競技人生で大変だったことはありますか?

垣田:大変だったこと…うーん、高校の卒業前に、カテゴリーがジュニアからエリートに上がって、4人組のチームパシュートでオリンピックを目指せることになったんですけど、そこからオリンピックまでの道のりというか日にちが少なかったんです。もうとりあえず言われた通りのことをがむしゃらにやって…。ギアも重たくなったり、今まではずっと1人で走っていたんですけど、チーム競技になって4人で隊列組んで走るから、隊列というのも本当に何もわからなくてとても難しくて…。とりあえず本当に言われた通りのことをがむしゃらにやったので、あまりに一生懸命すぎて「大変」って言えるのか分からないんですけど、そんな感じです。

あと、高校3年間をコロナ禍で過ごしたんです。大会とかもいろいろ制限されてきたから、ジュニアの時代に海外遠征や海外の試合に全然行けなくて。高校3年生でやっと行けたんですけど、アジアでは結構通用するんですけど、ヨーロッパに行ったらもう全然走り方が違って、全然通用しなくて。「世界の壁はすごいな」って思いましたね。そういうところでオリンピックを目指すには、レース経験がかなり少なかったことが大変だったかなって思います。

ーー1日のトレーニングのスケジュールはどのような感じですか?

垣田:朝8時半から出発して、10キロほど上りの道のりを経て競技場に到着します。そこから12時過ぎくらいまで練習して、その後もトレーニングを続けます。中長距離選手なので、全ての移動を自転車で行っています。練習はきついですが、全部楽しいと思います。その時の調子とメンタルで変わりますね。うまく走ることができたら、きつい練習でも楽しく感じます。最近はオリンピックが近いので、きつくても、ずっとオリンピックのことを想像して頑張っています。

垣田さんが作った冷やし中華

ーー マディソンという競技について、どのような難しさがありますか?

垣田:マディソンは120周の中で10周ごとにポイントがつく競技です。2.5周ずつで交代するのですが、そのタイミングが難しいんです。集団の動きや速度によって調整が必要で、しかも交代を失敗すると大変です。周りには他の選手もいて、みんな交代するので、常に周囲を見ながら走らないといけません。上には順位やポイントを表示するモニターがあるのですが、きついときは全然見る余裕がないこともあります。

ーーパリオリンピックに向けた意気込みや目標を教えてください。

垣田:チームパシュートでは10チームがオリンピックに出場できるんですけど、そのギリギリ10位で出場することが決定したんです。だから、8位以内に入って予選を通過して、次のファーストラウンドで走るのがまずは目標です。マディソンではメダルを取ることが目標ですね。

ーー最後に、自転車競技の魅力や見どころを教えてください。

垣田:まず自転車競技は日本ではマイナーなスポーツだと思うんです。だから、みんなあんまり現地で見る機会がないと思うんですけど、実際に現地に行くと、すごく迫力があるんですよ。歓声とかもすごくて、多分行ったらもうまず楽しいと思います。

私自身の走りでいうと、なんか…本能のタイプの人間なんです。考えるよりも直感を信じて、先に動いて勝負を仕掛けたりするタイプで。多分、自転車競技の中で私が一番若い選手になると思うので、そのヤングライダーとしてたくさんチャレンジして、見ていて面白いレースができたらなって思ってます。あと、今回のオリンピックに向けて自転車も新しくなってるんです。2000万円する自転車で走るんですよ。それも見どころかなって思います。でも、やっぱり一番は自分の走りで、みんなに勇気とか感動とか与えられたらいいなって。見ていて「自転車競技楽しそう」って思ってもらえるように。自分でも走ってて楽しく走らないと相手にも伝わらないと思うから、まずは自分が一番楽しんで、そうすることでみんなにも楽しんでもらえるようにしたいです!

垣田さんのパリでの活躍を応援しています!

 

【インタビューを終えて…】
垣田選手の話を聞いていると、自転車競技の面白さと楽しさがとても伝わってきました。厳しい練習の中にも楽しさを見出し、全力で競技に取り組む姿勢に心を打たれ、自分も自転車を漕いでみたくなりました。垣田選手のパリオリンピックでの活躍が今から楽しみですし、僕も全力で応援したいと思います!垣田選手の走りを通じて、より多くの人が自転車競技の魅力に触れることを願っています!

(取材日:2024年6月12日 文:学術部門 川北源二)


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