――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
私の夢は、オリンピックでメダルを獲得しスノーボードの魅力を普及することです。両親の趣味の影響で5歳ごろからスノーボードを始め、小学2年生の時に初めてハーフパイプを滑りました。オリンピックのハーフパイプ競技を見てオリンピックに憧れたため、私にとってオリンピックとは特別な大会であり、幼い頃から常に意識していました。国際大会を転戦するようになってからは技術的なトレーニングだけではトップ選手に追いつけないことを痛感し、早稲田大学スポーツ科学部を目指しました。高校3年生で北京オリンピックに出場することができましたが、満足のいく演技ができず9位で終わってしまいました。その後は次のオリンピックに向けて1からトレーニングを重ね、現在は2季連続でのW杯種目別総合優勝を達成することができました。次の目標である2026年ミラノオリンピックに向け、今までの大会や大学での学びを活かし競技力向上に努めています。
――日常生活、生活環境について
前期は対面授業を中心に履修し、後期はオンライン授業で学習しています。平日は授業の合間にジムに行きトレーニングをしたり、授業終わりにスノーボードのトレーニングをしています。土日は課題をしてからトレーニングに行くというスケジュールが多いです。大学では様々な分野を履修しましたが、今年度は主にコーチングやバイオメカニクスについて学びました。コーチングについて学ぶことで自分自身のメンタルコントロールやトレーニング計画の立案方法を見直すことができ、競技力の向上にも貢献していると感じています。また、大学にはあらゆる競技のトップアスリートが集っており、日々多くの刺激を受けています。
スノーボードの技術トレーニングをする際は、自宅から1時間程度の場所にあるエアマットを使用したトレーニング施設に通っています。私の行なっているハーフパイプとはジャンプの形状が異なりますが、空中での技の感覚の練習に役立つため1日4,5時間程度の練習を1週間に3-4日行なっています。ジムは国立スポーツ科学センターに通い、トレーナーの方に見てもらいウェイトトレーニングを実施しています。スノーボードを含むエクストリームスポーツでは怪我のリスクが高く怪我による長期的な競技からの離脱も多いため、普段から身体作りの他に怪我の予防も兼ねてウェイトトレーニングをします。全身の筋力を高めるためのメニューを1週間に1-2日、2時間程度行なっています。私は高校に入学してからウェイトトレーニングを始めましたが、今まで大きな怪我をしたことがないのもこのトレーニングの成果であると感じています。
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
目標の達成のために、オンとオフの切り替えを日々気をつけるようにしています。具体的には、練習をする日は練習に集中し練習のない日は競技についてなるべく考えないように意識することを心がけています。2022年の北京オリンピックが終わってから、練習をしていない日にも競技のことや「練習が足りないのではないか」といった考えで頭がいっぱいになり不安になってしまうことがありました。「競技を楽しむ」という本質を見失ってしまうような経験をしたからこそ、今は休養を取ることも練習と同様に大切にするようにしています。大学で「休むことも競技力を高めるための重要な要素である」ということを学び、この考えに大きな影響を受けました。トレーニングと日常生活の適切なバランスを維持し、より良いメンタルヘルスについて向き合うことが重要だと実感しました。
また、休養を充実させることが私にとってのモチベーションの維持に繋がっています。家族や友人と出かけたり、好きなアーティストの音楽を聴くことが今の私の最大のモチベーションです。大会前はいつも気持ちを落ち着かせることが難しくなりますが、音楽を聴いたり映像を見てできるだけ普段通りでいることを心がけています。
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
今シーズンは今までの演技構成を変更し、新たなルーティーンに挑戦する予定です。そのために大会への出場回数を減らし、冬の期間にもより多くの時間をトレーニングに費やします。今まで取り組んできた苦手な回転方向の技に加え、得意な技の難易度の向上、ジャンプの高さの向上を目標に設定したため、夏・秋のシーズンで自分にできることに精一杯励みます。今シーズンから2026年のミラノオリンピック代表選考レースが始まるため、代表権を獲得するためにも数少ない大会を大切にし、有意義な1年にしたいです。