2024/09/17

新規奨学生のピアニスト谷昂登さんが卒業生のチェリスト水野優也さんと協演♪│Akito Tani & Yuya Mizuno

2024/09/17

谷昂登

谷 昂登 Akito Tani

2023年秋よりケルン音楽大学にて勉強をしております。合唱から古楽器まで新しいことに触れる機会が多く、それをいかにして自分の演奏に繋げていけるかを常に考えていきたいと思っています。そして言葉、建築物、文学などから得られる…

2024年8月20日(火)、今年の4月から財団奨学生としてお迎えした谷昂登さん(ピアノ)と財団OBの水野優也さん(チェロ)のコンサートがトッパンホールで開催されました。桐朋学園大学の先輩と後輩でもあるお二人。そして谷さんはドイツのケルン、水野さんはオーストリアのザルツブルクに留学中です。

昨年の10月からケルン舞踏大学に留学された谷さん。留学生活のこと、音楽のこと、いろいろとお聞きしたくたくさんの質問を投げかけましたが、その回答を読むと、谷さんの音楽と向かい合う姿勢や、何を学びたいと思っているのかが垣間見えた気がします。

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Q1.  どういうきっかけでピアノを始められたのですか?そして今までピアノに打ち込んでこられたのはどういう理由だと思われますか? 

兄が2人おり、それぞれ幼少期からピアノを弾いていてその姿をみて自然に始めました。

幼少期より、色々なことに興味がありましたが全てにおいて音楽とどう関係するのかを考えてきて、自分なりに共通点をみつけながら勉強してきました。それが刺激となり続けられているのではないかと思います。

5歳の頃


Q2. この日のピアノソロの2曲目は当初予定していたブラームスからシューマンに変えたそうですね。ケルンの大学でもシューマンを勉強されているとか。シューマンの曲の聴きどころは
どんなところにあるのでしょうか。

シューマンは、他の作曲家に比べ演奏する時に自分自身が第一人称として演じるような感覚があります。そのため大変情熱的であり、哀しみもあり浮き沈みが激しい音楽です。シューマンの心の中にいたキャラクターも複数あるため、それぞれのもっているパーソナリティなどが聴きどころのように感じます。

トッパンホールにて


Q3. お答えづらい質問かと思いますが、一番好きな作曲家は誰でしょうか。その理由を教えていただけますか?
 

シューマンです。自分自身が演奏する際に表面に感情を出し切れる作曲家でもあり、その中で新たな表現や音色を曲から学ばせてもらうことも多いため好きな作曲家の1人です。
 

Q4. 昨年の10月からケルン舞踏大学に留学されましたね。多方面で刺激を受けていると思いますが、特にどんなところに刺激を受けていますか? 

ケルン大聖堂をバックに

毎日のように眺めることができるケルン大聖堂があり、建築、言語からも大きく刺激を受けています。特にドイツ語を勉強することで歌曲などにより興味が湧き、メロディに着く歌詞のリズム感との共通点を見つけることができ勉強になっています。

また、ケルン音楽大学にはたくさんの古楽器があり、またその授業もあります。私の師事している教授の部屋にも沢山の古楽器があり、時代ごとにその楽器を触れながらインスピレーションを得る作業はとても貴重な体験になっています。


Q5. 絵画や言葉、文学にも興味をお持ちだそうですが、音楽とどのように関わり合っているとお考えですか? 

絵画と音楽は色の配置と第一主題、第二主題などの構造に大きく共通点があるように感じます。もちろん、それ以外にも光と影の付け方が音作りにおいても参考になることがあります。そして絵を見ることによって時代背景にも気づくことができると思っています。
 

Q6. ドイツでの生活はいかがですか?日常生活は落ち着きましたか?よかったこと、困ったことなどありますか? 

少しずつ慣れてきました。日常生活はすごく充実しており、授業も多くあるため練習、語学の勉強との両立ができるよう生活しています。

やはり、言葉の面で細かいニュアンスまで伝えられず、もどかしい場面も多くありますが、勉強を続けていきたいと思っています。
 

Q7. 今、ピアノ以外で一番興味を持っているのは何でしょうか。 

交響曲に大変興味があります。ピアノでどうシンフォニックに構成していきたいかということをよく考えるので参考にしています。

音楽以外では野球がとても好きです。北九州市出身ですので、幼い頃から福岡ソフトバンクホークスのファンで常にプロ野球の結果はチェックしています。

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昨年の10月からケルン舞踏大学に留学した谷さんは、ドイツ語を浴び、古楽器に触れ、ヨーロッパの様々な歴史的建造物や絵画を見ることのできる環境を心から楽しんでいるようです。

「幼少期より、色々なことに興味がありましたが全てにおいて音楽とどう関係するのかを考えてきた」という谷さん。文学作品を原文で読み、文学や絵画から影響を受けた作品を学び、ヨーロッパの文化と音楽のつながりを理解したい、とも語っていました。留学で得た経験が谷さんの音楽をどのように進化させていくのか、傍らで見ることができるのは本当に幸運です。

12月の第30回リクルートスカラシップコンサートでは、シューマンのピアノ四重奏曲を演奏されます。今から楽しみです。

Akito Tani & Yuya Mizuno

日時:2024年08月20日 19:00
会場:トッパンホール

ピアノ:谷昂登
チェロ:水野優也

◆プログラム
ベートーヴェン:幻想曲 ト短調 Op. 77
シューマン:交響的練習曲 Op.13
  ピアノ:谷昂登
ベートーヴェン:《魔笛》の主題による7つの変奏曲 変ホ長調 Wo046
ブラームス:チェロ・ソナタ第1番 ホ短調 Op.38
  ピアノ:谷昂登
  チェロ:水野優也
アンコール曲:
 シューマン:夕べの歌 Op.85-12