――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
音楽を通じて聴いてくださる方々の心に寄り添い、少しでも辛い気持ちが癒されたり、前向きな気持ちになれたり、心が揺さぶられたり、大きな喜びを感じたり、そんな体験を届けられる演奏家であり続けたいなと思っています。
幼少期、発表会やコンクールでの演奏後に「感動した」「心が救われた」といった言葉をお客様からいただいたり、あるいは自分がそのようなことを感じたりするたびに、音楽の持つ、他には代えられない力を実感していました。
本当に数多く存在する素晴らしい作品たちを学び、その世界に浸り、そしてそれを多くの方々と共有したいという思いが、常に僕を導いています。
――日常生活、生活環境について
現在はドイツのカールスルーエ音楽大学で学んでいます。
ここは、その名の通りとても落ち着いた場所で(“ルーエ[ruhe]”=静かな,平穏な)、音楽に集中できる理想的な環境だと思っています。邪念や誘惑が少なく、より深くまで音楽を探求し、自分自身と向き合う時間を持つことができています。曲を弾けるようにするだけではなく、「自分が本当に表現したいこと」を追求することに重点を置いています。
現在は児玉桃先生に師事し、細やかで実践的なレッスンをしていただいています。とてもきめ細やかでありながら、しかし何かを押し付けるではなく、より細かい部分を僕に”意識”させてくれることで、それについてより深く試行錯誤する自分が芽生えます。それによって、細部にまでより確固たる意志を宿した演奏が実現できると感じます。また、ピアノのレッスンだけでなく、リートやアンサンブルなどのレッスンも本当に充実していて、多様な視点から音楽を学ぶ機会に恵まれています。
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
夢の達成に向けて日々意識しているのは、自分自身と誠実に向き合いながら音楽を探求することです。練習では、自分の中に浮かび上がる課題を一つ一つ丁寧に見つめ、それに集中して取り組むよう心掛けています。どれだけ時間を費やしたかではなく、どれだけ集中して本質的な部分にフォーカスできたかが重要だと考えています。
また、言語学習や作曲技法の学習、作品背景や歴史の勉強など、自分の興味のある”練習以外のこと”にも時間をたっぷり取ることを惜しまないようにしています。
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
まだ勉強したい古典の傑作も山ほどありますし、現代の作品にも心を惹かれるものが山ほどあります。様々なジャンルの作品に積極的に挑戦する中で、音楽がどう発展してきたのか、そしてここからどう発展していくのか、新たな表現の可能性を探っていきたいと考えています。
長い音楽家人生。まずはここからもう一段ステップアップするための、好奇心と努力に満ちた後悔のない一年にしたいと思います。