江副記念リクルート財団は、世界で活躍する学生同士が互いに学び、刺激を受け、新たな絆とインスピレーションを生み出すことを目的に交流会を実施しています。2024年12月18日にはスポーツ部門の学生が集まり交流会を開催しました。日頃は世界で戦うトップアスリートが競技の垣根を越えて互いのことを知り、異なる視点やアプローチを学び、ネットワークの構築を行う機会となりました。
開催概要
◇日時:2024年12月18日(水) 16:00~18:00
◇内容
・アイスブレイク
・活動報告① 52回生 飯村一輝(フェンシング) 「2024パリオリンピック 結果報告と振り返り」
・分野別発表② 53回生 中野麟太朗(ゴルフ)「2024年活動報告(全米アマ、アジアアマ大会)」
・特別奨学金授与 53回生開心那(スケートボード) 「パリ2024オリンピック競技大会 スケートボード女子パーク 銀メダル」
・グループワーク
・活動報告③ 52回生 垣田真穂(自転車競技) 「2024パリオリンピック 結果報告と振り返り」
・活動報告④ 52回生 吉川大紀(アメリカンフットボール)「アメリカ NCAA DIV-1 Football Programの報告」
活動報告① 52回生 飯村一輝(フェンシング) 「2024パリオリンピック 結果報告と振り返り」
アイスブレイクでお互いの競技に関するクイズが出され、一気に緊張もほぐれ和やかな雰囲気になったところで、52回生 飯村一輝さんによる活動報告が始まりました。2024年夏にパリ2024オリンピックに出場した飯村さんは個人戦で順調に勝ち進むものの、準決勝、3位決定戦は敗れ4位という結果でした。飯村さんは当時を振り返り「いつも通りのことができる人が勝利する。メダルが見えた瞬間“いつも通り”が出来なくなって負けてしまった」と分析。その後行われた団体戦ではアンカーという重責を担いながらも、見事金メダルを獲得。オリンピックという大舞台を通じて学んだことは、他の学生アスリートにも大きな刺激となりました。
活動報告② 53回生 中野麟太朗(ゴルフ)「2024年活動報告(全米アマ、アジアアマ大会)」
続いては、53回生 中野麟太朗さんが発表を行いました。中野さんは現在早稲田大学スポーツ科学部3年生。2021年には全国高等学校ゴルフ選手権 優勝、2023年には日本アマチュアゴルフ選手権優勝という実績の持ち主です。2024年中野さんはウエスタンアマ、全米アマ、アジアアマといったアマチュアの世界最高峰の試合に挑みました。満足する結果とはなりませんでしたが、それでも世界最高峰の大会に複数出場し、現地のコースの特徴をつかみ、外国人選手とのプレー環境に慣れたことは、今後世界で戦っていく上で大きな収穫となったようです。参加者からはゴルフに関するルールや海外ツアーのことなど、多岐にわたる質問が寄せられ、高い関心がうかがえました。
特別奨学金授与 53回生開心那(スケートボード) 「パリ2024オリンピック競技大会 スケートボード女子パーク 銀メダル」
当財団では、器楽、スポーツ分野での世界的コンクール・競技会における特筆すべき成果のあった奨学生に対して特別奨学金を授与しています。2024年7月26日から8月11日の日程でフランス・パリで開催された、「パリ2024オリンピック競技大会」で2大会連続銀メダルという成果をあげた、スポーツ部門53回生開心那さんへ財団理事長の峰岸真澄より特別奨学金を授与いたしました。
グループワーク
アスリートが互いに刺激を受け、視野を広げるとともに、深い自己理解や相互理解を促すことを目的としてグループワークを実施しました。各グループからは財団の他部門(アート・器楽・学術)と連携しながらマイナースポーツの普及に関するイベントの実施や子供たちと触れ合うきっかけを提供すること、また、パフォーマンスをあげるために学術部門との連携によってセーリングの風の向きの計算やより遠くにボールを飛ばすための身体の動きを科学することなどについて発表がありました。
自分たちの競技のことについてもっと広く知って欲しい、という意見が多かった中、最終的には自分たちが競技の中でしっかりと結果を出していくことによって多くの方に注目をしてもらえる。その上で様々な広報的な活動も連携して挑戦してみたい、と決意を表明。参加者からは「グループワークや会話を通じて他種目の選手が考えていること、気にしていることなどを共有することができた」「考え方や問題に対してのアプローチの仕方など様々なアスリートとしての情報が得られて良かった」などの感想が寄せられました。
活動報告③ 52回生 垣田真穂(自転車競技) 「2024パリオリンピック 結果報告と振り返り」
活動報告3番目は52回生自転車競技の垣田真穂さん。日本の自転車競技としてオリンピック出場枠を獲得するまでの経緯について説明を行い、日本新記録を更新したチームパシュート、そして女子マディソンの結果を報告しました。垣田さんは「オリンピックは特別」と語り、その理由について、今まで経験したことのないレーススピード、密着具合、レベル・経験値の差はもちろん、何より各国の選手が4年間にかけている想いが圧倒的に異なり、そして会場の雰囲気や観客の多さは別格と感じたようです。そして、日本の報道では心配されていたものの、食事や居住空間は比較的快適だったと選手村でのエピソードについても披露しました。
活動報告④ 52回生 吉川大紀(アメリカンフットボール)「アメリカ NCAA DIV-1 Football Programの報告」
活動報告の最後を締めくくるのは、2024年早稲田大学からアメリカテキサス州ラマー大学に転校し、日本人初のNFL選手を目指す52回生吉川大紀さんです。吉川さんは現在のテキサス州での暮らし、NCAA(全米体育協会)ルールについて説明を行った後、現在所属するラマー大学アメフト部でのトレーニングや食事、試合の様子などについて報告を行いました。その様子は動画でも共有をされましたが、本場アメリカの屈強な学生の突進を吉川さんがブロックして抑える様子などは圧巻です。アメリカンフットボールは最後のワンプレイで大逆転することが魅力のひとつ、と語りチームも会場も大盛り上がりとなる映像で報告は締めくくられました。
約2時間ほどの交流会ではありましたが、参加者からは「普段交流する機会の少ない他の競技の方々とお話しすることで、新鮮な視点や様々な経験を聞くことができ、大きな刺激を受けた」「交流会を通して年代の近い世界を目指す選手たちとの横の繋がりを持つことができ、今後のモチベーションに繋がった」などの感想がありました。
財団は奨学金の給付を通じて、世界のトップを目指すアスリートを支援していますが、それは単なる資金提供者ではなく、奨学生たちの夢と目標を実現するための真のパートナーでありたいという思いを強く持っています。そのため、今回のように競技の垣根を越えて学生同士が交流を行う機会を提供することで、技術面や精神面での成長を促すだけでなく、競技全体への理解を深め、個々のアスリートにとってのモチベーションやパフォーマンスの向上に繋がっていくことを願っています。