私は2018年の1月、ヴァイオリンを携えてボストンのニューイングランド音楽院に留学しました。2度目の春学期を終え、留学生活は1年半になりました。
入学当初は、言葉に不安・学校や寮に不安・友達に不安・・・と、日々悲壮な心持ちで神経をすり減らし、1日ミス無く過ごす事で精一杯でした。しかし不安は少しずつ克服することが出来、今ではのびのび勉強しています。
アメリカの大学のカリキュラムはとても厳しくて、積極的に授業に参加するのは当然、難しい宿題も多く大変です。欠席も出来ません。またグループでの研究やプレゼンテーションなどを経て、コミュニケーション能力を高める仕組みになっています。学内で日本人は僅かしかおらず、私の学年は私1人だけ。控え目にしていたら居ないものとして扱われるので(笑)、何事にも一所懸命主張するように心がけています。
音楽の勉強も「自発的に行う」ものであり、それが出来る環境が整っています。沢山のオーディションや発表の場が準備されていて、優秀な成果を残すと活動の幅を広げることが出来ます。音楽仲間も沢山出来ました。
私は昨年『Nico Quartet』を結成し、オーディションを通過、活動を開始しました。日本と違い、こちらでは室内楽の勉強を大変重視します。どの音楽大学にも、きちんと一組の弦楽四重奏のprofessorが居り、在学中には多くの単位を取らないといけません。
『Nico Quartet』は、カナダ・台湾・韓国・日本の個性豊かなメンバーから成ります。1年間は室内楽をきちんと勉強しようと決めていたので、数多くの作品を学び、沢山のコンサートに出演したりレコーディングに参加出来た事は素晴らしい経験であり、濃密な1年でした。
またソロの勉強も順調で、幸せな事に日本とボストンの両先生の手厚い指導を受けています。最近は日本をはじめ海外でも演奏の機会を得ることが出来、この夏もシカゴ→オランダ→日本→ニューヨークとコンサートに出演します。
そんな目まぐるしい留学生活の中で、私の癒しは「美術館散歩」「オーケストラ鑑賞」です。ボストン美術館は歩いて10分、ボストン交響楽団は歩いて1分、どちらも無料!の裏技があり、秘かな憩いの場となっています。それにボストンは美しい街で、四季折々の自然を楽しめます。
新鮮なシーフードも身近にあり、ロブスターは高くて無理だけど、生牡蠣をオヤツに食べるという楽しい事も出来ます。ボストンは中華料理もなかなかイケます。
私はボストンでこのような日々を過ごしながら、ヴァイオリンと自分に向き合っています。沢山の支えを頂き今の私が在ることに感謝を忘れず、日本を思いながら、これからも頑張って参ります。