2024年5月、17歳でプロ転向を表明した齋藤咲良さん。プロに転向したことによる自身の変化や、今後のキャリアを通じて達成したいこと、海外遠征でのTIPS、通信制の高校の様子についてなど、幅広くお話を伺いました。
ーまず最初に、 齋藤さんがテニス始めたきっかけから現在に至るまでを簡単に教えていただけますか?
まず5歳の時に、色々な習い事をしてた一つの中にテニスがあって、 父と市営のコートを借りて、遊びでやってたことがきっかけとなりました。小学校6年生の時に初めて全国大会で優勝して、そこから海外遠征を回るようになって、世界の人と戦っていく上で通用するところ/通用しないところを明確にしながら練習して。中学3年生の時に、グランドスラムというテニスの大きな大会に出場し、準優勝という結果を残すことができて。それで今年(2024年)プロになった感じです。
ー割と早い段階で大会には出ていたのですか?
小学1年生の時に初めて市の大会に出場して3位になった気がします。その後、小学校3年生の冬に県大会で勝ち上がって、初めて小学校4年生で関東大会に出ました。当時、小学4年生とかで関東大会に出る人は少なかったように思います。
ープロになることを意識し始めたのはいつ頃で、どうして17歳というタイミングだったのでしょうか?
もともと小さい頃からプロになりたかったというのはあったんですけど、それが明確になってきたのは通信制の高校に入ったことがまず一つ。高校2年生から、ジュニアとプロの大会に両方出場して、ジュニアだけでなくプロの方でも良い成績を残したので、早いかもしれないけど17歳でプロになろうと思ったのと、あとは大学に行くことも迷ったんですけど、今しかできないことはプロの道だと思うので。大学は引退してからも行けると思うので、今しかできないことをやろうと思ったのが、この17歳のタイミングだったので(プロに)登録をしました。
ー ジュニアからプロになって、齋藤さん自身に起こった変化はありますか?
やはりプロの大会に出ると皆フィジカルが良いので、フィジカルの強化だったり、あとは海外の選手だと本当にサーブで主導権を握られることが多いので、 自分もサーブの部分で有利に立てるように技術面は特に練習しています。メンタルでは、どんなに苦しい状況でもトップの選手たちは我慢しながらやっているので、最近自分もどんなミスでもどんな苦しい状況でも受け入れるってことをプロになってから習得できたのかなって思ってて。あとはプレイで言うと、バックハンドのストレートの展開からが自分の武器だと思うので、そこを生かせるようなポイントパターンとかの練習を増やすようにしました。
ー 齋藤さんは17歳でプロ転向をされましたが、プロを目指すジュニアの子供たちにアドバイスはありますか?
まず一つは怪我をしない。怪我は付き物だと思うんですけど、私自身はあまり大きな怪我をしたことがなく、長期にわたって休むことがなかったんです。それは、身体のケアだったりストレッチだったり、あとはトレーニングで鍛えたりして、テニスができる状況とか時間を増やすことが大事だなって思っています。食事に関しては、小学校6年生の時に食べていなかったわけじゃないんですけど、運動量の方が多すぎて一時期痩せちゃった時があったので、成長期にもうちょっと食べると良かったのかなって思います。練習に関しては、コーチとかトレーナーとか、選手を一番に思ってくれる人が絶対身近にいると思うので、そのコーチと相談しながら、課題を一つ一つ毎日積み重ねることが大切なのかなと思います。
ー高校生活についても少しお話しを伺いたいのですが、斎藤さんの在籍しているS高等学校ではどのように授業を進めていますか?
勉強はアプリを使って、動画とテストを進めていくと課題が完了していくので、本当に自分の好きなタイミングでできます。年に6日間だけスクーリング(登校)に行くんですが、自分で行きたい月を決められますし、ある程度は自由にスケジュールを組むことができるので、他の高校と比べたらかなり自由が利きます。
ー 齋藤さんは年間で相当数の海外転戦がありますが、移動・食事・言語など、様々な環境の中、常に自分が最高のパフォーマンスをするために気をつけてることはがあれば教えてください
まず、飛行機の移動は本当に長いんですけど、ほぼ私は睡眠に充てていて、13時間とかある中でも10時間ぐらいは寝ています。あと、大会期間中は時差ボケとかもあるんですけど、睡眠時間はなるべく多く確保できるようにしていたり。食事では、朝食はバイキングが多いので、自分でバランス良くと考えながら取るんですけど、夕ご飯は本当に好きなものを食べるので、私はやっぱりアジア料理、日本食とか中華が好きなので、自分の好きなものを探したりしています。遠征時に持参するものは、ポカリスエットの粉だったり、アミノバイタルだったり、そういうサプリメントは結構持っていきます。あとは一人用の炊飯器とかお湯沸かし器とかを持っていって、お米は向こうで売ってるので自分で炊いたりしています。
ー 海外の選手とのコミュニケーションで特に苦労することはないですか?
最近は結構慣れてきています。大会会場で同じ選手を見かけることが多いので、 ちょっと喋ったことあるような選手と一緒に会話しながら少しずつ言語は学んでいます。あと勝った人のインタビューとかYouTubeに載ってるので、この時の質問はどんなことを答えるとか、少しずつ学ばせてもらってます。
ー 競技以外についても少しお伺いしたいのですが、斎藤さんが日常をどういう風に過ごしているかが分かるエピソードを教えていただけますか?
日本にいる時はオフが週に1回、基本的には日曜日がオフなので、小学校と中学校の友達と出かけることが多くて、花火大会とかディズニーとか、本当に色々な所に行ったりしています。家族とは、たまに外食とか日帰り温泉とか行ったりしてます。自宅ではTikTokを見ることとか、あとはアニメだとハイキューにすごくハマってるので何回もリピートして見てます。
ー 音楽とか聴きますか?好きなアーティストとか?
Mrs.(GREEN APPLE)が好きです!でも、ライブ(の抽選)外れました(笑)
ー また競技の話に戻るんですけれども、今後のキャリアの中で最終的にこういうことを達成したい、そして人間としての成長ではどういうことを最終的なゴールとして置いているかについて教えていただけますか?
目標はグランドスラムやオリンピック、国別対抗戦で優勝することなんですけど、やっぱり多くの人から応援されたり、愛される選手になりたいなって思います。テニス界で言うと、ロジャー・フェデラー選手とかラファエル・ナダル選手とか、本当にテニスしてる人以外にも人気なので、私もそういう選手になりたいし、あとは今バスケとかバレーとかがすごく盛り上がってるんですけど、(私も)テニスを盛り上げる一人の選手になりたいなっていうのはすごく思います。
ー 以前財団の総会で、ご自身の活動を発表いただいたと思うんですけれども、財団のことについても少しお伺いしたくて。今年でちょうど財団生になって3年目ですが、齋藤さんが感じる財団の特徴や奨学生として印象に残ってることを教えていただけますか。
江副記念リクルート財団はスポーツの他に器楽・アート・学術と多くの部門があって、スポーツに関してもゴルフとかフェンシングとかスケートボードなど多くの選手がいるので、総会やスカラシップレポートなどで、様々な分野の人の活動を知ることができて、本当にいい刺激を受けてます。あとは総会で学術やアートの人の話を聞いて、内容はすごく難しいんですけど、本当に世界で活躍されてる方の声とか意見を聞くことができて、とても良かったなっていう風に思ってて。私自身もテニスのキャリアを終えた後に大学に行きたいなって考えてるので、様々な方の話を聞いたり見たりして、視野を広げる一つのきっかけとなったので、本当にありがとうございます。
ー ありがとうございます。そう言っていただいてとても嬉しいです!最後に、この奨学金を目指すジュニア世代の皆さんにメッセージをお願いします!
私自身もまだまだ目標に向かってる途中なんですけど、世界のトップの選手になるために、毎日コツコツと昨日よりもレベルアップしてるように、少しずつ頑張ってる状況なので、本当に怪我だけには気をつけていきたいなって思います。江副記念リクルート財団に所属しているスポーツ部門の方以外にも、世界でトップになりたい方はたくさんいると思うので、その人たちと一緒に世界で活躍できて、明るいニュースを届けられるように本当に一緒に頑張りたい、頑張っていきたいなって思います。
◆2025年度スポーツ部門奨学生募集要項 (募集期間:2024年10月1日~12月2日)
https://www.recruit-foundation.org/scholarship/sports2025
プロフィール
齋藤咲良
2006年 群馬県生まれ
2022年 S高等学校
江副記念リクルート財団ホームページ