2022/03/08

山川夏鈴 活動レポート

2022/03/08

山川夏鈴

山川 夏鈴 Karin Yamakawa

人間とコンピューターの関わり方を探求するHCI(Human Computer Interaction)を専攻しています。テクノロジーの飛躍的な進化により、セラピーロボットやVRゴーグルなど人間の活動をサポートする方法が増…

――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?

HCIという言葉を聞いたことはありますか?では、UIやUXならご存知の方も多いのではないでしょうか?HCIとはHuman Computer Interactionの略で、人間とコンピューターの関わり方、またそれをサポートするインターフェイスに関する学問です。最近知名度の上がっているUI・UXデザインなども、この分野に含まれます。

現在私はHCIについて学んでいますが、最初からHCIを学ぼうと思っていたわけではありませんでした。大学入学前は認知神経科学についての研究を行うことを目標としていたので、この分野の研究が盛んに行われているブリティッシュコロンビア大学(UBC)に進学することにしました。UBCで様々な分野の授業を受け、コンピューターサイエンスやエンジニアリングにも強い興味を持つようになったことで、次第にそれらと認知科学を組み合わせたようなことができないかと模索するようになっていきました。そんな中、HCIの講義を受けた時に、まさに私がやりたいことはこれだ、この分野をもっと追求したい、との想いを強くするようになったのです。

HCIで出来ることを言葉で具体的に表現するのは難しいのですが、ひと昔前までは映画やSFの世界でしか出来なかった人間の直感に訴える方法でコンピューターを動かす方法や、バーチャルに体験できるようにする様々なアイディアが生まれています。私の将来の夢は、新たな人間と技術の関わり方を開発し、利用する人がもっと暮らしやすくなるようなインターフェイスを作ることです。

自然豊かで広大なキャンパスです。

――日常生活、生活環境について

コロナウイルスの影響で大学の授業がオンラインになってしまったので、出歩くことが極端に少なくなり、また講堂に歩いて行くこともなくなりました。運動不足解消と対面授業に戻った際に必要な体力をつけることを目的に、少なくとも週に3回は朝起きてから講義が始まるまでの時間で筋トレを習慣にしています。講義の時間は日によって違いますが、だいたい朝10時から夕方の4時頃まで講義に出席したり、講義の合間に課題に取り組んだりしています。夕方4時以降は、残りの課題をこなしたり、料理をしたりしています。バンクーバーは食品の値段が全体的に高いので、自炊を心がけています。作り置きできるものを調理したり、家事をこなしたりすることで、体を動かしたり良い気分転換になっています。高学年になるにつれてプロジェクト型のクラスが増えてきて、グループメンバーとのミーティングや、幹部を務めているUBC Neuroscience Clubの活動、またボランティアしているSPIN研究所での活動もこの放課後の時間帯に行っています。課外活動を通して、様々なファンドレイザーの企画や、ブリティッシュ・コロンビア州のアルツハイマー協会との協力、そしてSPIN研究所を通し関わっているプロジェクトでは自分の意見を研究に取り入れてもらえるので、自分の貢献を実感しやすく、非常にやりがいがあります。普段は0時ごろに就寝し、睡眠時間を十分に確保できるようにタイムマネジメントをしています。

SPIN研究所のメンバーと大学近くのビーチに行った際の写真。研究所ではハプティクスと感情に関する研究を主に行っています。

――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること

私は認知科学、コンピューターサイエンスなど様々な分野の講義をとっていますので、学習の際はそれぞれの分野の知見や発見をつなげるようにしています。そうすることで学習内容を多面的に捉えることができますし、分野間のつながりがあればあるほどアプローチの数も増えるので理解が深まると感じています。各分野の学びを応用することは授業内に限らず、普段の生活にも取り入れています。例えば、心理学では人間のワーキングメモリは一度に3つから5つほどのアイテムしか抱えることができないということを学びましたので、どうしてもやる気が出ない時や、モチベーションが必要な時は、紙にその日に取り組むことを3つ書き出すようにしています。書き出す行為を通して自分の中の優先順位を明確化し、3つなら終わらせられる、というやる気を引き出すことができます。また、以前は休息を取ることに罪悪感を感じていたため、休息を取らずに作業を続けたところ逆に効率が落ち、体調を崩してしまったことがありました。現在は「休息をとることは悪いことではないよ」と自分に言い聞かせ、意識的に休憩を適度に挟むようにして、ベストコンディションを保てるように自己管理を徹底しています。

キャンパス内には3つのビーチがあり、そのうちの1つから撮影した夕日。

――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負

2022年の9月から1年間、大学の長期インターンシッププログラムに参加します。それまでは少しでも自分の可能性を広げるために、特にプログラミング言語のPythonなど、技術的なスキルを身につける予定です。HCIは様々な分野をバックグラウンドに持った人が集まる業界で、デザインのプロセスやメソッドもチームによって様々です。インターンシップを通して複数の研究者や企業と関わることで、自分がいざプロダクトをデザインするという段になった時に使える引き出しを増やすことが一番の目標です。また、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語に興味を持っているので長期的にはそれらを習得し、物事のいろいろな捉え方や思想・文化を学ぶことで、柔軟かつ多面的に考えることができる人間に成長していきたいと思います。

大学生活もちょうど半分が終わりましたが、今までに多くのものを得ることができました。この学びの機会を可能にしてくださった江副記念リクルート財団の関係者の皆様、そして応援してくださる皆様に感謝しています。これからも自分の夢の実現に向けて努力、挑戦して参りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします。