――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
ヴァイオリンを始めて23年目になりました。漠然とした夢かもしれませんが、これからも国内外で広く演奏を続けていきたいと思います。このように思えるのも、演奏会に来てくださる方々からの反応やお声掛けが何よりも嬉しいからです。そして言葉ではなく自分が発した音の何かが伝わり誰かの心を動かしたという実感が湧いてくるのです。そういったことを特に国外で多く体感してきました。14歳以降毎年たくさんの国を訪れ演奏し各国の師匠と出会い再会し学び続けてきました。海外情勢が安定しない今でもおかげ様で変わらず定期的に海外に出て勉強を続けられております。海外で学んでは国内での音楽活動と実践に生かすこのスタイルが自分には合っていると感じます。生活の拠点は国内にありますが、今後も本場の音楽を知る音楽家の方々との交流を絶やさず学び続けていきたいと思います。
2021年11月末ロシア スピヴァコフ国際ヴァイオリンコンクール
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
――日常生活、生活環境について
海外と日本で学ぶことについて今まで感じ得た違いをまとめてみたいと思います。
練習環境の違いは日本ではやはり防音室内での練習がメインになるのに対し、海外ではさほどの防音対策が施されていない環境が多いと思います。師事している先生は大学での授業でしかお会いできないわけでなく夏期、春期のマスタークラスなどでもお会いでき、コロナ後はとくにZOOMなどによるオンラインレッスンで定期的にお会いすることができます。海外と日本の学びの違いは個人レッスンに関して言えばほぼ無いかもしれません。留学することで異国学生同士生活を共にし、コミュニケーションをとり、室内楽を組む経験は日本の大学ではほぼ適わないことだと思います。短期の海外滞在でも学生寮を使うことはありますが、基本的にはツーリストとしての注意に準じます。たくさんの国を訪れる場合は税関での楽器審査をパスすること、加えてコロナ対応が国によって違うため足止めされないよう事前にできることを調べ準備しなければ予定通りに帰国できません。
2022年夏 オランダでの演奏会
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
コロナ前まではやはり弾くことで一生懸命というか、すべては本番の演奏のために余暇さえ過ごしているような心持ちがあり、いつも演奏のことが頭の片隅から離れませんでした。人と会話をしたり映画を見たり本を読んだりといったヴァイオリンから離れた時間が今よりあったはずなのですが、どれもこれも音楽表現に繋がらない何か漫然とした時期がありました。人間は社会で生活しているからこそ様々な感情を体験し、そこから音楽のアイディアがふと生まれることがあります。またSNSなどからは容易に日々多くの情報を受け取り人の感情に触れることができます。たまに美術館に行ったりバレエやオペラを見たり、自然の中で気持ちをすっきりさせたり、美味しいものを食べたり、人とコミュニケーションをとり、毎日アップデートしていくような感覚で自分自身の日常を楽しむことを心がけています。
ロシア現地の美術学生さんからいただいたスケッチ画 花束と手紙を添えて
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
私の中で演奏会を大切に思う気持ちは増すばかりで、やはりこれまでと変わらずこの1年のどの演奏会も成功させていきたいと思います。
コンチェルトでも新しいレパートリーを増やしていきたいです。
またシンフォニーを勉強する機会もつかんでいきたいです。