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Q1. 5月9日(火)、東京オペラシティでクリストフ・エッシェンバッハ指揮、ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団とドボルザークのチェロ協奏曲を演奏されました。どんな気持ちで臨まれ、終演後はどんな気持ちでしたか?また演奏中は何を考えていましたか?
エッシェンバッハマエストロのピアノの音を初めて耳にしたのは確か中学3年生の頃、イッサーリスというチェリストとのシューマンのアルバムでした。その柔らかで変幻自在の音色にとても衝撃を受け、いつかお会いしたいとずっと夢見てきました。5月9日はそれを何段も飛び越えて共演まで叶ってしまったので、それはもう夢のような時間でした。本番はあっという間に終わってしまい、終演後は名残惜しい気持ちになりました。
Q2. プログラムに「子供の頃からエッシェンバッハに憧れてきたという佐藤は、2022年にエッシェンバッハが来日した際に演奏を聴いてもらい、今回の初共演のチャンスを掴んだ」とありました。エッシェンバッハは著名なピアニストだったそうですが、直接お会いして、どんな方でしたか?今回の共演を経て、得たこと、学んだことはどんなことでしょうか?とても静かで物腰柔らかく、どことなく日本人的な波長も持っている方なのかなという印象でした。しかしリハーサルの際にはオーケストラに対しても妥協せず音を磨く時間を惜しまない、とても正直な方だと思いました。
共演するにあたり、日本のオーケストラとヨーロッパのオーケストラの違いも肌で感じることができました。日本のオーケストラでは緻密で繊細に仕上げ、合図や呼吸は最短距離で的確な印象があります。しかしヨーロッパのオーケストラは良い意味での“大味”があり、合図や呼吸は空間ごと調合する印象を受けました。
どちらの音楽感にも対応できるよう、自分の引き出しを更に増やしたいと思いました。
Q3. 2019年、ミュンヘン国際音楽コンクールチェロ部門において日本人として初めて優勝されました。その後、3枚のCDをリリースされました。ミュンヘン国際音楽コンクールでの優勝は大きな飛躍のきっかけになったかと思いますが、いかがでしょうか?
よりたくさんの方々に自分の表現が届く実感を得られたのは、確かにコンクールの後でした。しかし大きな飛躍というのは自分自身から見るとありません。自分の成長というのはしようと思ってするものではなく、毎日コツコツとひとり没頭した先にあるのだと思います。
夢をたくさん持つことは大事ですが、それらを大きなものにし過ぎず、むしろこれからも「昨日の自分にない発見がどれだけできたか」にこだわっていきたいです。
音楽自体に興味を持ったきっかけが、チェロを聴いたことでした。チェロは人の声に近いと言われる楽器ではありますが、声の低い佐藤とは低音域が全く同じで、個人的には更に親近感を覚えています。
忘れずにいたいと思っているのは、準備の大切さです。ありがたいことにこの2-3年、演奏の機会が増えてきましたが、それと同時に一つずつの作品にかけられる時間は必然的に減ってきます。それでもなんとか他の時間を削り準備する、その必死さはいつまでも忘れずにいたいなと思っています。
少なくとも20代のうちはまだまだ勉強する年だと思っています。もっともっと勉強し、視野を広げ、たくさんの音楽を研究していきたいです。
どんな演奏家になるかは僕自身分からないですし、決めたくありません。これからどんな演奏ができるようになるか、楽しみにしています。
Q7. 時間のある時に、音楽以外でされることは何かありますか?
本を読んだり、映画を見たり、違うジャンルの音楽(ラップやジャズ)を聴いたり、サウナに行ってリフレッシュしたりするのも好きです。
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「どんな演奏家になりたいですか?」という、これまでどなたにもお聞きしてきた質問に対し、「どんな演奏家になるかは僕自身分からないですし、決めたくありません。」というこれまでにないユニークな回答が返ってきました。自分の成長に限界をもうけたくない、ということでしょうか。
「これからどんな演奏ができるようになるか、楽しみにしている。 」「昨日の自分にない発見がどれだけできたか、にこだわっていきたい。」 という佐藤さん。そんな佐藤さんが、どんな道をたどり、どんな演奏家になっていくのか、追いかける側も興味津々、楽しみです♬
クリストフ・エッシェンバッハ指揮 ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 & 佐藤晴真
日時:2023年05月09日
19:00
会場:東京オペラシティ コンサートホール
◆プログラム
ウェーバー:歌劇「魔弾の射手」序曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
ソリスト:佐藤晴真
ブラームス:交響曲第2番 ニ短調 作品73
〈ソリスト アンコール〉 カザルス:鳥の歌