私は、国際的に活躍できる医師を目指して、様々な人種が共存するロンドンのUniversity College London医学部医学科で学んでいます。1~2年次には基礎医学を一通り学びましたが、現在3年次では免疫学・細胞病理学・感染症学の理学士号取得を目指して研究や勉強に勤しんでいます。数ある選択肢の中からこのコースを選択したのは、途上国医療や移植手術等私の興味のある様々な医学分野において、これらのコンセプトが重要だからです。例えば、途上国ではHIVや結核、NTD(顧みられない熱帯病)といった感染症が未だ多くの死を招いていますし、臓器移植では他人から移植された臓器を異物と認識しないように免疫抑制が必要です。研究プロジェクトがこのコースの約半分を占めますが、私はFrancis Crick Instituteという著名な研究施設にあるSwanton教授の研究室で、機械学習を駆使して肺がんの腫瘍微小環境を分析する研究を行っています。がんの免疫療法が導入され始めていますが、同じがんでも違う患者さんや違う腫瘍では効能が異なることが多いです。これは、がん細胞の遺伝子や、がんを取り巻く免疫細胞や間質細胞を含む腫瘍微小環境の不均質によるものと考えられるため、私はこれを正確に分析するためのアルゴリズムを確立することで、患者さんの治療に対する反応を予測したり、新しい免疫療法のターゲットを見つけたりする助けになるのではと考えています。
医学部の学習と並行して課外活動にも精力的に取り組むことで、幅広い視野を身に着けたいと考えています。途上国医療に興味があるので、西アフリカのガンビアにおける子どもの健康改善を目指すプロジェクトのUCL支部リーダーを務めたり、開発学勉強会を毎月運営したりしています。これまでに夏休みを利用して2回ガンビアに渡り、現地NPOと協力して、母性保健・栄養失調・若者の海外移住について現地調査を行いました。また、アフリカや国際機関で広く用いられているフランス語を勉強しています。将来は、何かしらの形で子どもの医療に携わりたいので、脳性麻痺を持つ子どもの家庭を訪問するボランティアを3年間続けています。また、土日を利用して、イギリス全土から学生が集まる医学カンファレンスに積極的に参加し、様々な専門分野について見聞を広げ、同じ志を持った医学生と交流しています。多様なカンファレンスに参加し著名な先生方のご講演を聞く機会が多くあることが、大都市ロンドンで医学を学ぶ利点と感じています。
このように、幼いころから興味のあった医学を国際的な環境で勉強し、同時に幅広い活動に取り組めているのも、財団にご支援していただいているおかげです。来年度から始まる臨床実習にも真摯に取り組んでまいります。