――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
埼玉県立浦和高校の長期留学制度を利用して英国の高校で二年間学び、ケンブリッジ大学での学士過程を経て、現在はオックスフォード大学オンコロジー(腫瘍学)学科で博士課程を履修しています。
充実した設備と優れた研究者を擁するイギリス国内でも有数の癌研究所で自分のポテンシャルを試したかったことや、座学よりも研究に専念できるプログラムの存在が目指すきっかけになりました。学内のみならず世界中のトップレベルの研究者を招いたセミナーなども定期的に開催されており、自分の研究テーマに偏ることなくより体系的に知識を蓄える環境が整備されていると感じています。
生物学の神秘を追求できる基礎研究としての純粋な「面白さ」と、その結果が癌細胞のはたらきや治療法の解明につながる応用研究としての「やりがい」が混和した癌研究に強い魅力を感じており、博士課程修了後も何らかの形で研究を続けていきたいと考えています。
日々の生活、生活環境は?
自分の研究プロジェクトは、培養している細胞やそこから抽出したDNA・RNAといった遺伝情報を用いた、いわゆる「ウェット」の実験が中心となっています。
現在は新型コロナウイルスの流行の影響を受けシフト制での実験を余儀なくされており、午前中は家から「ドライ」の実験(コンピューターを使った解析やデータの分析)及び論文執筆作業などを行い、昼過ぎから夜までの時間を研究室での実験に充てています。
研究面以外の学生生活としては、ケンブリッジ大学時代から続けている野球チームでの活動や、オーケストラ等でトランペットを担当していました。
ロックダウンなどを経た現在は、外出する機会がほとんどないので、一緒に住んでいるハウスメイトと料理をしたり、テムズ川や水路沿いを散歩するなどして気分転換を図っています。
夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていることを教えてください!
よりよい研究結果のために実験に時間を割くことはもちろんですが、プロジェクトが進んでいくにつれ、どうしても偏った見方や盲点が生まれる傾向があるので、データを独りよがりに解釈するのではなく、教授や同僚の研究者たちに必ず意見を求めるようにしています。日々のディスカッションを大切にして、柔軟性を保つことで、限られた時間から得られるリソースを最大限に活用していきたいです。
また、将来的なキャリアへ役立つように、研究室内外の他の学生との意見交換などを通して、論理的な思考力や効率的な実験デザイン能力の獲得を目指しています。
最後に、これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負をどうぞ!
新型コロナウイルスの蔓延とそれに伴うロックダウンの影響で遅れた分を取り戻し、目に見える研究成果や論文の出版へとつなげていきたいです。そのためにも限られた時間とリソースを最大限使い、今まで以上に意欲的かつ主体的に研究テーマに向き合っていく必要があると感じています。
また、良いパフォーマンスを発揮するためにも精神衛生とモチベーションを高く維持することが重要になると思うので、気分転換や分野を広げた知識のインプットもバランスよく行っていきたいです。
このような状況下でも変わらないご支援をいただけることに改めて感謝するとともに、決意を新たに2021年も日々の実験に励んでいきたいと思います。