2021/03/02

木村尚一朗 活動レポート

2021/03/02

木村尚一朗

木村 尚一朗 Shoichiro Kimura

現在、高齢化社会へと遷移していく中で医療現場の逼迫が起きており、医療従事者と患者両方の負担を減らすには使う薬剤にも一工夫する必要があります。薬物送達システムとは、体内の中に効果的に薬物を運ぶ技術の総称で「治療の受け方」の…

――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?

私はユニバーシティカレッジロンドン(UCL)の生物化学工学学部に所属する木村尚一朗です。将来の夢は自然から着想を得た素材、特にバイオテクノロジーを駆使した医療素材の開発に携わりたいと考えています。UCLを目指した理由としては、まず大学自体が理系のみならず文系の教科にも力を入れており、幅広い分野の学生と交流したり刺激を受ける機会があると思ったからです。また、目指した学部では専攻とは別にマイナーも取れる柔軟な学び方ができるのも魅力でした。私はマイナーでは将来の研究・就職の幅を広げる事を考えてドイツ語を学んでいて、最終的には仕事が出来るレベルまで上げるのが目的です。

ロンドン中心部にあるBloomsburyキャンパス

私が所属する生物化学工学学部では、細胞をどのようにして改変すれば効率的に抗体やインスリンなどの生成物を生産させるか、また、どのようにして生産スケールを上げていくかを学んでいます。学部としては新型コロナウィルスのオックスフォード大学ともにワクチンの開発、生産に成功しています。一学年には学生が30人ほどしかいないため、講師一人に対して学生の数が少なく、講師とより親密な関係を築くことができます。

日々の生活、生活環境は?

本来であれば、キャンパスに通学し講義や実習を受けているのですが新型コロナウィルスの影響で授業はすべてオンライン上で受けているため、一日のほとんどを家の中で過ごしています。大まかなスケジュールとしては9時から1時はオンライン上で授業を受け、それ以外は他の授業の内容を事前に予習するか課題をしています。週末のうち、一日は一緒に住んでいるフラットメイトと徒歩で市内を探索したり近くにあるリージェントパークを散歩して気分をリフレッシュしています。

よく散歩に行くリージェントパークの様子

海外生活で一番気をつけているのは病気にかからないことです。一般的な風邪にかかるだけで一週間ほど授業に遅れがでてしまい、それらの埋め合わせをするために今以上に励む必要があります。特に新型コロナウィルスのこともあるので体調管理には細心の注意を払うようにしています。

夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていることを教えてください!

自分の興味のある自然から着想を得た素材などの論文を読むようしています。ちょうど新型コロナウィルスの影響で急遽帰国した際には余った時間で面白そうだなとおもった分野(XNAや原子細胞など)の文献レビューをいくつか書きました。自分で文献をまとめ、分野内での最新の発見はどのようなものなのかと探しているうちに自然と分野への理解度が高まりました。

去年の実習で担当してくれた大学院生と友人達との集合写真

その他には大まかに一カ月のスケジュールと課題に優先順位をつけるようにしています。ある程度一日のノルマを決めていくと自然と何をすべきが分かり、するとしないでは効率に雲泥の差があります。特に一年生のころと比べ課題や授業の予習量が格段に増えたため、今後もしっかりとスケジュールを作る習慣を身に着けていきたいです。

最後に、これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負をどうぞ!

来年には学部の集大成となる一からワクチンを生産する工場の設計を行うプロジェクトがあるので、そこで今まで培ってきた知識を応用したいと思っています。
また、さまざまな分野の講義や論文に触れることによって新しいものを吸収していき、素材開発のアイデアにしていきたいです。つい先日、細胞治療と遺伝子治療のセミナーを拝聴する機会があり、そこでこれらの治療方法の非臨床試験の現状について知ることができました。このように、現在の状況下ではオンライン上でよくセミナーが行われており、それを利用して今まで以上にさまざまな分野に足を踏み入れていきたいです。

入学してから一年半がたち、色々なことを学ぶことができました。それを可能にしてくださった財団の支援者や職員の方々には心から感謝しております。これからも皆さんの期待にこたえられるようより一層気を引き締めて、頑張っていきたいと思います。