2024/08/01

2024/08/01

開心那

開 心那 Kokona Hiraki

スケートボーダーの開心那です。 この度はリクルート奨学金支援ありがとうございます。 5才の時にスケートボードを始めてから毎日練習に取り組んできました。私の目標は、私のことをサポートしてくれているデッキやシューズブランドか…

世界での活躍を目指し、ハードなトレーニングを積み重ねてきたスポーツ部門奨学生がパリ2024オリンピック日本代表選手に選出されました。競技やオリンピックにかける想いについて、奨学生がインタビューを実施しました。
 

開心那
第53回生 スポーツ部門奨学生
第一学院高等学校

●出場種目
8月6日│スケートボード女子パーク

【インタビュアー:学術部門49回生  岩附莉那
豪州シドニー大学にて獣医学を専攻しています。野生動物保全医学に関心があり、フィールドやコアラの保全施設、タスマニアンデビルのサンクチュアリなどで、現場での実践的な経験を積んでいます。趣味はダンス。幼い頃からバレエや部活動で新体操などをしてきた経験から、見せる競技に興味があり、スケートボードのかっこよさや選手のこだわりのつまったスタイルを観るのを楽しみにしています。


ーーまずこれまでの道のりについてお聞きしたいのですが、5歳でスケートボードを始めて、指導者なしで先輩スケーターを手本に磨いてきたということを知り、驚きました。競技を始めたきっかけ(パークの道を選んだ理由など)や影響を受けた人などがいれば教えてください。

開: まず始めたきっかけは、親にスケートボードをおすすめされ、地元のスケートパークで滑っていたお兄さんがすごくかっこいい滑りをしていて、自分もあんな風に滑れるようになりたいなと思ったのがきっかけです。小さい頃から地元のパークでストリートもパークも両方あったので、両方やっていて、どちらも好きなんですけど、競技としてやるのはパークの方が好きで。その理由がボウルのプールコーピングというのがあるんですけど、そこでグラインドをする時の流している時の音とか足の感覚が好きで、パークスタイルが好きになってやっています。

ーー世界の第一線で活躍されている開さんが感じるスケートボードの特徴・魅力を教えてください。また競技を観戦する上で注目すべきポイントはどこですか?

開: スケートボードは年齢も性別も関係なく、子供から大人までみんなで楽しめるもので、今はオリンピックの競技になったんですけど、本当遊びみたいなものですごく楽しいし、あとスケートボードはオリンピック以外では自分の好きなファッションで、好きなものを着て滑れるし、ルールとかもないので、自分のやりたいトリックをやって、みんなでセッションして、そういうところが魅力かなって思います。
スケートボードはみんな同じトリックをやっていても一人一人個性スタイルがあるので、そういうところもすごく楽しいし、みんなが一緒じゃないので一つ一つ流れだったり、やる技だったりを見てもらいたいと思います。私自身、楽しんで滑りたいし、オリンピックはスケートボードを知らない人も見ると思うので、見ている人も楽しんでもらえるような滑りをできるようにしたいなって思っています。

パリ2024オリンピック スケートボード 女子パーク日本代表 開心那選手

ーー普段はどのようなトレーニングを積まれているのでしょうか?練習メニューは自分で組むのでしょうか?
開:もちろん練習する技だったりはあるんですけど、毎回これをこうやってというのはなくて、行って自分のやりたいようにやって、大会に出すトリックや新しいトリックを強化するための練習を毎日やっています。
新しいトリックを自分のものにするときには、どのように習得していくんでしょうか?
開:コーチがいないので、SNSをみて、やりたい技をやっている人がいたらそれを見て、スケートパークで滑っている他の方に教えてもらったり、親が教えてくれたりしてやっています。
その時、恐怖心と挑戦するワクワク感、どちら強いのでしょうか?新しいトリックをやるとなるとすごく勇気がいるのではないかと思うのですが
開:いつも新しい技をやる時は、自分がやりたいと思った技をやるので、ワクワク感もあります。でもやっぱり最初は恐怖心もあります。結構自分は慎重にやっていくタイプなので、ちょっとずつちょっとずつやって、積み重ねていきます。

ーー大変な練習やメンタルコントロールの面でどのようなことを思い/考えると、頑張れる/乗り越えられるのでしょうか?どのように気持ちを切り替えていますか?

開:新しいトリックをやる時、そんなに簡単にできるわけじゃないので、1日でできるものもあれば一週間かかるものもあるんですけど、全然できない時は一回気持ちを切り替えるために一旦違うことをやってもう一回やったりします。大会の時には、3本滑れるんですけど、一本目滑る前にすごい緊張する時には、成功した時のことを考えていつも滑っています。

ーー何が開さんを前に進めてくれる、原動力となっているのでしょうか?競技を楽しまれている印象がすごく強いので、日々楽しんでいる/自分を更新していくと思うことが秘訣なのかなと思ったり

開:やっぱり練習とか頑張って、大会に出て、いい結果を残せたらすごく嬉しいので、またいい結果が残せるようにって考えながらやったり、いつも練習する時には音楽を聴きながらやるので、そういうのでテンションをあげてやっています。

ーーこれまでの大会で悔しい経験やターニングポイントとなったなど印象に残っている試合などありますか?

開:東京五輪の後からほとんどの大会で表彰台に上がってきている中、ドバイから始まったパリ五輪に向けての大会で、5月のアルゼンチンでの大会で5位、X games Californiaも4位という悔しい結果でした。2回連続自分の出したいものを出し切って表彰台に上れず、本当に悔しい思いをしたので。その次の10月ローマでは1位を取れたのですが、それは自信につながりました。

ーー東京オリンピックでは日本人選手史上最年少で銀メダルでしたが、前回のオリンピックから特に力を入れてこんな練習をしてきたやメンタル面での準備など、この3年間での進化についてぜひ教えてください。

開:自分の持っている技をどんどん強化していったり、あとはスピードを上げられるようにしたりとか、新しい技を練習したりっていうのをしてきました。東京五輪という大きい場や他にも色々な大会を経験し、大会慣れしてきて、緊張を自分でコントロールできるようになりました。

1つ1つの質問に丁寧に答えてくださいました

ーー転戦しての苦労や印象に残っている国などはありますか?
開:ドバイとかもうそうそう行かない国なのであれなんですけど、やっぱり一番ローマが印象的でしたね。ほかの国は日本食がないと食とかに結構困ってたんですけど、ローマすごいパスタが美味しくて!
じゃあ逆に他の国だと日本食レストラン探したり探して行ったりとか?
開:そうですね。あとは自分で日本食持っていけるものを持っていったり、あとは部屋にキッチンとかついているところに泊まってそこで日本食を作ったりしてます。
他に海外の大会に行く時に、これは絶対いつも持っていくっていうものは何かありますか?
開:小さい頃海外で行われたVans Park Seriesという大会があったんですけど、その大会を見ていて憧れていた女性の選手がいて、その方に貰ったぬいぐるみを今も持っていっています。あと、飛行機で食べるお菓子、日本の煎餅だったりとか、アメリカだったら日本スーパーでお米を買って炊いているんですけど、他の国だったらそういうのはできないホテルなので電子レンジでチンして食べれる即席のお米を持っていっています。

ーー大会ではパークの設計が場所によって異なると聞いたのですが、どのように調整していくのでしょうか?最終的にどのようにトリックを組み込むかはどのタイミングで決めているのでしょうか?

開:まず1,2ヶ月前に大会をやるパークの図が公開されるので、なんとなくラインだったり、あとはここでこの技出したいなっていうのを決めてからいきます。大会は本当に短い時間で合わせないといけないので、すごく大変なんですけど、大会前にトリックをいっぱい練習して体に入れてって感じでやっています。

ーー個人競技ですが、仲間を意識する瞬間はありますか?スケートボードの他の種目の選手/一緒に滑ってきている仲間が刺激になったり、意識したりなどあれば教えてください。
開:大会の時はやっぱり戦うので、ライバルになっちゃうんですけど、自分はあんまり人のことを気にしていなくて、自分との戦いですね、大会は。
もう自分の滑りに集中している?
開:そうですね。でも前の人がメイクしたら、おおってなるし、やっぱり自分も次全部乗るぞってみたいな感じでやっています。


ーー45秒間の競技ということで緊張したりはしないですか?これまでの試合映像を拝見し、とても堂々とされている印象があります。大会に臨む前に心がけていることや意識していること(気分を上げたり、集中力を高めるためのルーティーンなど)、こだわり、また滑っている時にどんなことを考えながら滑っているのかがあれば教えてください!

開:やっぱり3本滑れるうちの最初の1本目は緊張します。予選や準決勝は、1本目うまくいっていい点が出ると緊張しないで2,3本目滑れるんですけど、決勝は1本目まずできたらほっとはするものの、やはり1,2,3位を決めるものなので、気が抜けません。
前の人を見ている時は、自分の好きな音楽をイヤホンで聴きながら見ています。あとは、想像しながら絶対できるって思いながらいます。大会の時はこの45秒間でいろいろ技を入れるのでその一個一個できた時によし次も乗るぞみたいな気持ちでどんどんやっています。

ーー世界ランキング1位でオリンピック出場とのことで、自分自身の記録を更新する/自分との戦いという面が大きいのではないかと思いますが、プレッシャーなどは感じますか?

開:あまり感じていないです。世界ランクは1位ですが、「パリで結果を残すこと」を考えて、そこはあまり考えていないです。スケートボードは年齢制限がない分、最近は小学生だったり、本当にちっちゃい子、うまい子が出てきているので、パリ前の大会もすごく大変な戦いでした。上海の際も世界ランク1位だったんですけど、最後の最後まで気を抜かずにやっていました。

K-pop好きで落ち着いたら韓国に行ってみたいということも話してくれました

ーー競技の他に趣味や支えとなる人/ものはありますか? SNSなどを拝見して、おしゃれ好きな印象があります。シグネチャーモデルを出したいということも目にしました。また撮影なども行われているそうですが、競技に囚われない、スケートボードのカルチャーも大切にされているのでしょうか?

開:そうですね、おしゃれするのも好きだし、大会はパークで出ているんですけど、普段はストリートもやったり、色々やっているので。洋服は自分で決める時もあるし、母が決めてくれることもあります。結構今大会が続いているので、どんどんスケートボードの撮影とかもしていきたいなと思っています。

ーー最後に、オリンピックがいよいよ目前に迫っていますが、現在の意気込みを教えてください!

開:オリンピックでやっぱりいい結果を残したいのはもちろんなんですけど、まずは自分の納得いく後悔しない滑りを出し切って来れるように頑張りたいと思っています!

 

【インタビューを終えて…】

東京五輪のスケートボード・女子パークで、日本人選手史上最年少で銀メダルを獲得し、フォーブス30アンダー30の1人に選ばれるなど、大注目のスケーターである開さん。お話しさせていただく前は、強くクールなイメージだったのですが、笑顔が素敵で、可愛らしい面を沢山見せてくれました。

たくさんの注目を集める中でもプレッシャーを感じずに、成功した時のことを想像して、とにかくスケートボードを楽しむこと、自分を更新していくのを楽しまれているというところが、彼女の強みなのではないかと感じました。大会は「自分との戦い」という15歳の彼女の言葉に特に強さを感じました。そして、画面越しにスケートボードが本当に好きなんだということが伝わってきました。普段から指導者をつけずに練習し、トップの座でありながら自分自身をどんどん前へ進めている姿、そして自分のスタイルを追求する姿は眩しく、まさに座右の銘「唯一無二」にその想いが込められているのではないかと思います。私自身、心配気質であったり、変にプレッシャーを感じてしまったりするので、世界を舞台に活躍する彼女の強みに学ぶことが多くありました。楽しんで納得のいく滑りができることを心より応援しています!

(取材日:2024年7月26日 文:学術部門 岩附莉那)


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