――将来の夢、そしてその夢や現在の学びの場所を目指したきっかけは?
5歳から始めたピアノですが、かれこれ19年経ちました。初めてピアノを見た瞬間その美しさに魅了され、自分はピアニストになるんだと思い続けていましたが、こんなにも早い段階で演奏活動を出来ているのが今でも信じられません。
現在私はボストンのニューイングランド音楽院で勉強しております。昨年度Bachelor of Music(学士課程)を卒業し、今はMaster of Music(修士課程)に在籍しております。若い時から早いうちに留学をしたいという漠然とした思いがありましたが、その思いを一気に加速させたのが日本音楽コンクールで第1位をいただいた瞬間でした。大変光栄で嬉しい気持ちでいっぱいでしたが、同時に早く日本から出て広い世界を見てみたいという思いもあり、留学先選びを始めました。クラシック音楽を学ぶ者としてヨーロッパ諸国などのアメリカ以外の国がメジャーですが、当時師事していた先生が長らくアメリカで勉強していたこともあり、自然な流れでアメリカ留学を決めました。
――日常生活、生活環境について
現在、学部に在籍していた頃からお世話になっているアレクサンダー・コルサンティア氏に加え、今年からダン・タイ・ソン氏とも勉強しております。アレクサンダー・コルサンティア氏はピアノを上手に弾くためではなく、音楽という芸術としてどういう演奏が出来るのかというレッスンをしてくださります。常に決定権は生徒に委ねられ、どういう音楽をしたいのか、更に言えば自分はどういう人間で何を音楽を通して描けるのかを問われます。一方ダン・タイ・ソン氏のレッスンは非常に細かいです。自由な音楽を求められながらも、じゃあそれをするためにはどういう音作りをしたら良いのか、どのように音楽を組み立てれば良いのかを具体的に示してくれます。2人の敬愛する音楽家と学べることはとても幸せなことです。
アメリカは楽器が上手く弾けたら卒業させてくれるわけではありません。一般科目や音楽史や音楽理論の授業でも良い成績を取らなければなりません。修士課程は学士課程に比べ授業数が少ないので、大分楽になりましたが、Mid Termに与えられるレポートやFinal Weekで行わなければならないプレゼンテーションなど、練習を後回しにして勉強する日も少なくありません。
授業と言っても全ての授業が座学なわけではありません。私は今履修しているSonata Classという授業は、ピアノとヴァイオリンやピアノとチェロと言ったデュオアンサンブルに焦点を当てた授業で、室内楽の名手である先生が指導してくださいます。室内楽の耳が育つと同時に、自分のソロの勉強でも非常に役に立つことばかりです。
――夢の達成に向けて、日々取り組んでいることや気を付けていること
心の豊かさと音楽の豊かさは比例します。常に色んな事柄に目を向け、そして考えて感じるように心がけています。楽譜を見てこのフレーズはどういう意味なのか、どういう音楽を作曲家が欲していたのかと考えるのはもちろんのこと、道端の木々や花々を見て素敵だなと感じたり、ニュースを見て何故こういうことが起こるんだろうなど、目にするもの、耳にするもの全てに心を傾けるようにしております。
――これから更に挑戦したいことや、1年間の抱負
これからも国際コンクールにチャレンジしていきたいと思います。結果が全てではありませんが、結果を残さなければ多くの方々に聴いていただくチャンスを手にすることはできません。自分の信念やこだわりを大切にしつつ大きな世界で勝負していきたいです。