スタンフォード大学では、2021年に学部課程を応用数学専攻(B.S. Mathematical and Computational Science, GPA: 4.14)で卒業し、今年6月に修士課程をコンピューターサイエンス専攻(M.S. Computer Science, GPA: 4.18)で卒業しました。
学部課程に入学した当時、神経科学・認知科学・人工知能への強い興味から、Symbolic Systemsというコンピューターサイエンス、心理学、言語学、哲学が合わさったスタンフォード特有の専攻に憧れていました。一年目にこれらの科目の授業を取るうちに、コンピューターサイエンスの世界により惹かれ、数学と統計学の面白さにも気づき、副専攻をSymbolic Systemsに、メインの専攻は数学、コンピューターサイエンス、統計学の授業が中心となった応用数学専攻のMathematical and Computational Scienceにすることに決めました。
研究面では、1年生の夏は人間のコミュニケーションについての認知科学の研究を進め、CogSciという国際的な認知科学の学会で賞を受賞しました。2年生の秋から修士課程の人工知能の授業を本格的に取り始め、よりcomputationalな認知の研究に興味を持ち、2年生の夏には強化学習においての内発的報酬の研究を始めました。教授のサポートのおかげで、国際的な機械学習の学会International Conference on Machine Learning(ICML)で論文を発表し、国際的な深層学習の学会International Conference on Learning Representations(ICLR)のワークショップでは論文がSpotlightとして選ばれました。また、2年生の終わりに取ったCS231N(深層学習の授業)で取り組んだプロジェクトが、Google Researchの研究者の方の論文に関連していたのですが、そのプロジェクトが600人以上のクラスの中でBest Project Award2位をもらい、3年生の夏はその研究者の方のAI研究チームで内発的報酬の研究に取り組むインターンの機会をいただきました。
研究に没頭した学部4年間でしたが、修士課程を卒業する前に一度立ち止まり、自分の研究活動の応用性を見つめ直す機会がありました。今まで自分の興味からアカデミアでの認知科学・人工知能の研究を進めてきましたが、最終的にはinclusive(包括的)な社会を作るために役立つことが目標で、実用性が最優先されにくいアカデミアでは、その過程を経験することがなかなかできませんでした。そこで、4年生の夏(修士課程最終年度の前の夏)にGoogle Researchで研究をプロダクトに応用する機械学習エンジニアのインターンをさせていただきました。プロダクトをよりinclusiveにするために、研究者が開発した機械学習のモデルをどのように応用するべきかというプロジェクトでした。今までの研究活動で身につけた考え方やスキルを活かしながらも、最終的にたくさんの人々が使うプロダクトをよりinclusiveにすることに貢献できて、大変やりがいを感じ、実社会に結び付いていることを実感し始めました。
また研究以外でも、学部をHonorsとDistinctionで卒業し、Phi Beta Kappaに選出されました。さらに、J.E. Wallace Sterling AwardというStanford School of Humanities and Sciencesの卒業生トップ25名に贈られる賞を受賞しました。財団のご支援がなかったら、これほど研究活動に時間と体力を注ぐ大学生活を送ることはできませんでした。心から感謝しています。
卒業後は、Google Researchで研究とプロダクトを繋ぐエンジニアとして働きながら、機械学習を使ってテクノロジーをよりinclusiveにする経験を積んでいきたいと思います。そして、その経験を活かして、スタンフォードで培った研究者の観点と実社会に役立つプロダクトを作るエンジニアの観点の架け橋として、研究と応用の両方で社会に貢献できるよう尽力します。引き続き応援していただけたら嬉しいです。
パンデミックの影響なども含め目の前のことが思うようにいかなくても、その先を見られるようになったと思います。また、研究に打ち込む毎日を通して、自分の健康(特にメンタルヘルス)をより大事にするようになりました。
夢への道はなかなかまっすぐlinearなものではないので、色々な寄り道をして、自分が歩んでいる自分だけの道を信じて頑張ってください!