北口 榛花
第46回生
東京オリンピック特別助成対象
●出場種目
8月3日│陸上競技女子やり投予選
8月6日│陸上競技女子やり投決勝
【インタビュアー:学術部門47回生 島戸 麻彩子】
英国UCLにて医学を専攻。医学生のコロナ対応に関して学術誌に投稿するなど、得た知見を積極的に共有する試みをしています。Vision Hacker Awardを受賞し、低中所得国の医療人材育成にも取り組んでいます。
ーー第一線で活躍されている北口さんが感じるやり投げの魅力について教えてください。
北口 : 飛んでいくやりが描く放物線も非常に綺麗なのですが、私は選手の個性が表れる投てきが魅力だと感じています。全ての選手は「やりをできるだけ遠くに投げる」という同じ目的を持っていますが、体格によって助走のスピードや投げ方が異なります。例えば私の投てきの魅力は、柔らかい体を活かしたしなやかさだと自負しています。
ーー現在チェコのコーチにご指導いただいているそうですが、どうしてチェコに飛び込もうと思ったのですか?
北口 : 私は以前から海外で研鑽を積みたいと周囲に伝えていて、特にやり投げの世界記録保持者を男女ともに輩出しているチェコで技術や体力を磨きたいと考えていました。大学時代に自力でチェコとの繋がりを開拓し、周囲に応援していただき渡航しました。チェコでは脚の強化に重点的に取り組むよう指摘されて、より大きな記録の達成を目指せるようになりました。最初は現地の試合で自分の出場順もわかないほどチェコ語に苦労して疎外感を感じることもありましたが、今ではチェコの選手たちとも仲良くなり、助けてもらいながら参加しています。
ーー怪我によりリオオリンピック出場を逃してしまったり、昨年パンデミックの影響でチェコから帰国を余儀なくされたりと、さまざまな困難を乗り越えて今回東京オリンピックに出場されると伺いました。思い通りに進まない事態に直面したとき、どうやって気持ちを切り替えていますか?
北口 : まず、アスリートにとって怪我は避けられないものだと考えているので、当時は「さらにもう一段階強くなった姿でフィールドに復帰したい」と決意してトレーニングに取り組んでいました。
昨年、新型コロナウイルスの影響でチェコ合宿から帰国しなければいけなくなった時は正直動揺しました。帰国後はチャットアプリを使用してコーチから遠隔指導を受けながら練習しています。時差の関係上、練習中にコーチとリアルタイムでやり取りできないので、練習の効率は少し下がってしまったと感じています。一方で、コーチも私も英語が第一言語でないため、チャットの方が互いの意図が伝わりやすいという利点も発見しました。怪我やパンデミックなど覆せないことに思い悩むのではなく、それらをどうすれば補えるのかそして打破できるのかを常に考えて競技と向かい合っています。
ーーオリンピック開幕がいよいよ今月末に迫っていますが、現在の意気込みを教えてください。
北口 : 小さいころから憧れていたオリンピックの舞台に選手として立てることがとても幸せです。東京オリンピックでのメダル獲得を目標に練習に取り組んできたので、来日するコーチと一緒に入念に準備を行って、私の最大限の力を発揮したいです。
やり投げの魅力を分かりやすく真剣に語ってくださったので、上半身と下半身両方の細かな調整が必要な奥深い競技だと新たな発見がありました。置かれている状況を冷静に分析して今出来ることに精一杯取り組むという姿勢は、コロナ禍において病院実習や課外活動に取り組む私にとって大変参考になりました。オリンピックでは、ダイナミックに飛んでいくやりだけではなく選手の投てきにも注目したいと思います。北口さんのしなやかな投てきを拝見するのが楽しみです!
(取材日:2021年7月3日 文:学術部門 島戸 麻彩子)
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